
The history of
KIGO
つくらない
つくれないを,
KIGOは、ブルハイドレザーブランドとして始まったブランドではありません。
もとは、多くのブランドのものづくりを支えるファクトリーでした。
デザイナーが描いた理想を形にすること。それが私たちの仕事でした。
今までにない構造のバッグや革小物、特殊な素材を用いたものなど、「製品化が難しい(できない)」と言われる仕事ほど、私たちのもとへ集まってきました。
新たに材料を開発し、製造方法を考え、そのための道具を作り、ミシンを改造し、必要があれば製造機械そのものを作ることすらありました。
目の前にある「作りたい」という想いを、どうすれば形にできるかを考え続けた、私たちにとっては当たり前の仕事でした。

職人は、
知恵の塊
創業者の内山は、幸運なことに多くの熟練職人から仕事を学ぶ機会に恵まれました。
その中でも、今のものづくりの原点となった一人の職人がいます。
その職人は、手取り足取り教えてくれるような人ではありませんでした。
「それもっと簡単に、もっときれいに作る方法あんで。」
「聞く?それとも自分で考える?」
その繰り返される会話が、自分の仕事を簡単には許さないことの大切さを教えてくれたのです。
それぞれの工程には必ず目的と理由があり、理に適う必要があること。そして、知恵を絞った分だけ製品は美しくなるということを学んだのです。
職人の技術は、経験と創意工夫の積み重ねから生まれます。
彼らから受け継いだ技術には、些細な道具の使い方から画期的な製造方法まで、多岐にわたります。
彼らは特許を取ることをせず、また時代の流れから弟子を取ることもしませんでした。
これらの知恵は図書館に行っても、ネットを検索しても見つかることはありません。その職人の引退とともに失われてしまうものでした。
だからこそ、受け継いだ技術を未来へつないでいくことも、私たちの仕事だと考えています。

市場にある革の多くは、
「革の欠点をなくすこと」を目指していました。
私たちが欲しかったのは、
革の長所を伸ばした革でした。
もっと良いバッグを作るには、もっと良い革が必要でした。
雨染みを防ぐために、顔料を塗装する。
軽くするために、必要な油分を減らす。
早く大量に作るために、本来必要な工程を簡略化する。
安く仕上げるために、、、。
もちろん、それぞれ必要に迫られてのことです。
しかし、それらは同時に、革が本来持っている表情や風合い、耐久性、特に魅力を少しずつ失わせていくことでもありました。
もっと良くできる方法を知っていながら、効率を優先する。
その考え方に、私たちは迎合できなかったのです。
そんな私たちの革探しは、時代の流れからも困難を極めました。
理想の革さがし

ブルに
KIGOを始めて間もなく、内山はあるタンナーが試験的に鞣したブルハイドレザーに出会います。
それはその時、探していた革ではありませんでした。
けれど、長年心の中で思い描いていた
「こんな革があったらいいのに」
が、そのまま目の前に現れたような革でした。
その瞬間の衝撃は、今でも忘れられないといいます。
「なんだ、これは。」
そこには、それまで見てきたどの革とも違う存在感がありました。
深く刻まれた傷。
荒々しいシボ。
一枚として同じものはないどころか、一枚の中でも部位によって表情が全く違う革だったのです。
しかし同時に、この革がほとんど評価されていない現実に憤りを覚えます。
ちょっとした傷があっても、返品されるのが当たり前の業界で、傷が多い、扱いが厄介という理由で忌避され、表舞台では全く使われていなかったのです。
当時、革を扱う業者に「ブル」といっても話が通じなかったほどです。
私たちは、その傷を嫌いにはなれなかった。
むしろ、その牛が生きてきた歴史であり、その革だけが持つ個性です。
人それぞれに個性があるように、革にもそれぞれの表情があります。
その個性を消すのではなく、生かしたい。
誰もやらないなら、自分たちでやるしかありませんでした。

しかし、出会ったブルハイドレザーもまた、理想の品質ではありませんでした。
ブルハイドレザーは一般的な牛革とは性質が大きく異なります。
にもかかわらず、一般的な牛革と同じ方法で鞣されていたのが原因でした。
ブルには、ブルに合った作り方があるはず。
そして、多くのタンナーがないがしろにせざるをえなかったところにも工夫を重ね、納得できる品質を目指しました。
バッグメーカーとして積み重ねてきた経験が、背中を押してくれました。
だから私たちは、革づくりに踏み出したのです。
鞣しの工程のスケジュールから、タンニンや加脂に用いるオイルなどの選定、その処方の仕方など、すべての工程を見直す必要がありました。
まだ効率化されていなかった伝統的な製法に習い、科学的な分析をもとに、ブルハイドレザーという素材のために、一から製法を組み立て直し続けてきました。
革を作りたかったからではありません。
理想のモノを作るために、理想の革が必要だったのです。
ブル、作り

KIGOとは
KIGOが作るのは、珍しい革、高価な革を使ったバッグではありません。
長い時間の中で、
「このバッグでよかった。」
と、いつか思っていただけるものです。
修理をしながらでも使いたいと思えるモノ。
子どもや後輩へ受け継ぎたいと思えるモノ。
何年か後にふと手に取ったとき、その人の時間まで思い出せるモノ。
そんなモノを作り続けることが、KIGOのものづくりです。
KIGOは、誰かの人生に寄り添う道具と言えるかもしれません。
私たちが本当に作りたいのは、バッグや財布そのものではありません。
KIGOのバッグとともに積み重ねられていく、一人ひとりのかけがいのない時間なのです。















